漆器の産地はどこにあるの?うるしの国・日本

うるしの国・日本
日本の伝統的な工芸品である漆器は、北は青森から南は沖縄まで約30ヵ所と、実に多くの産地で生産されています。塗りの特徴も、木地の木目を生かしたシンプルなものから蒔絵や螺鈿で豪華に装飾したものまで様々です。漆器は、その土地の気候風土や歴史を反映した特産物なのです。

漆器の産地はこんなにあった!

漆器の産地
漆器は古くから日本各地で生産されており、日本人の生活に根ざしていました。
以下は、各都道府県の代表的な漆器の一覧です。

漆器の主な産地/都道府県別一覧

青森県 津軽漆器
秋田県 能代春慶、川連漆器
岩手県 秀衡塗、浄法寺塗
宮城県 鳴子漆器、仙台堆朱
新潟県 村上木彫堆朱、新潟漆器
福島県 会津漆器(会津塗)
茨城県 粟野春慶
栃木県 日光彫
東京都 江戸漆器
神奈川県 芝山漆器、鎌倉彫、小田原漆器
静岡県 静岡漆器
長野県 木曽漆器
岐阜県 飛騨春慶
石川県 輪島塗、金沢漆器、山中漆器
富山県 高岡漆器
福井県 越前漆器、若狭塗
三重県 伊勢春慶
滋賀県 日野椀
京都府 京漆器
奈良県 奈良漆器
和歌山県 紀州漆器
岡山県 郷原漆器
島根県 八雲塗、出雲漆器
山口県 大内塗
香川県 高松漆器
愛媛県 桜井漆器
福岡県 久留米籃胎漆器
宮崎県 宮崎漆器
沖縄県 琉球漆器

次に、四大産地(会津、山中、越前、紀州)の漆器についてご紹介します。

会津漆器(会津塗)(福島県)

会津漆器の生産が盛んになったのは、1590年に会津の領主となった蒲生氏郷が産業として奨励したことがきっかけです。

氏郷が以前の領地だった近江蒲生郡日野(滋賀)から木地師や塗師を呼び寄せ、技術を伝授し、漆器の改良に尽力しました。

・虹色の光沢を持つ貝の素材を用いた螺鈿
・色漆で絵を描く漆絵
・漆で模様を描いた上に金や銀の粉を振りまく蒔絵
・上塗りした器物の表面に模様を彫り、金や銀、箔などを埋め込む沈金

など、多彩な加飾(器物の表面に装飾を施すこと)技術が特色となっています。

山中漆器(石川県)

山中漆器の歴史は、安土桃山時代に始まります。越前(福井県)の木地師(ろくろ師)集団が、日本一の欅の産地である山中温泉近くに移住したことで木地づくりの技術が伝わりました。

木地とは漆を塗る前の白木の木材や器のことです。山中漆器は、木地の質が非常に優れていて、「木地の山中」と呼ばれているほどです。

江戸時代になると京都や会津から塗りや蒔絵の技術も導入され、山中漆器は豪華な蒔絵を施した塗りの茶道具で名をはせます。新しいライフスタイルに対応するべく、合成樹脂など人工的な素材を用いた漆器作りにも積極的に取り組んでいます。

越前漆器(福井県)

福井県
別名河和田塗。越前漆器の歴史は古く、約1500年前に遡ります。

古墳時代末期、継体天皇が皇子だったときに冠の塗り直しを塗師に命じたところ、塗師は黒塗りのお椀も合わせて献上しました。お椀の出来栄えに感銘を受けた皇子が、漆器作りを奨励したことが越前漆器の始まりといわれています。

また、越前には古くから漆を採取する「漆かき」という職人がたくさんいたことも、漆器作りが盛んになった理由とされます。

古くは丸物と呼ばれる椀類がほとんどでした。明治以降、角物と呼ばれる膳や重箱、菓子箱なども作られるようになりました。伝統的な工芸品のみならず、業務用漆器の生産にも力を入れていて、高い全国シェアを誇っています

紀州漆器(和歌山県)

紀州漆器の始まりは室町時代で、黒江地区が渋地椀の産地として知られていました。江戸時代には紀州徳川家の保護を受けて発展し、会津、山中、越前と並んで漆器の四大産地に数えられるようになりました。

また、根来寺の僧が寺用の膳、盆、椀、厨子などを作っていたものが「根来塗」と呼ばれています。

根来塗は、黒漆で下塗りした上に朱漆を塗っており、使い込むうちに下塗りの黒漆がところどころ露出して模様を作るのが特徴です。現在では、最初から下の黒漆を見せて景色を作っているものが多いです。

浄法寺漆と浄法寺塗

浄法寺漆と浄法寺塗
日本の伝統工芸品である漆器には、日本産の漆が最も適していますが、漆の国内消費量の98%は中国からの輸入品というのが現状です。

貴重な国産漆の約70%が岩手県二戸市浄法寺町で採取され、浄法寺漆と呼ばれています。良質の浄法寺漆は日光東照宮や金閣寺、中尊寺金色堂などの修復にも使用されています。

浄法寺塗の歴史は、約1200年前の奈良時代に遡ります。当時、浄法寺町に天台寺が建立されたときに、僧が自分たちの什器を作るために漆器作りの技術を持ちこんだのが始まりです。ふだん使いの器が多く、ほとんどが無地で朱、黒、溜色といった単色で作られています。

多彩な漆器のなかから好みのものを

漆器というと、漠然と赤や黒に塗られていて高級そうな器…とイメージしている人が多いかと思いますが、産地によって装飾や技法も様々です。日用品向けのもあれば、贈答品用もあります。現代のライフスタイルに合わせて、洋風のデザインの製品にも使われています。
漆器に興味を持ったら一歩踏み込んで、色々な産地の漆器を比べてお好みの漆器を毎日の生活に取り入れてみましょう。

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